シルクスクリーンの手工的製版手法
シルクスクリーン製版にはいくつかの手法があります。
版のベースとなる紗張りまでは同じですが、版材を切り抜いたり塗り描きする手工的な方法と、感光性の版材を露光・現像する写真製版法の大きく2つに分けられます。
現在は写真製版法がほとんどと思いますが、以下の2つの製版法は主に芸術表現上に用いられている手法です。私自身は学生時代に美術の授業でカッティング手法を用いてスクリーン版を制作したのを覚えている程度です。ご参考までに。。。
こちらのブログ(横山工藝 製版ラボ)に、ししゅう枠と切り絵でつくる版の説明記事がありますのでぜひ!
ブロッキング法(直接紗に柄を描画する方法)
枠に張られた紗に柄を描いてしまう方法です。幾何学模様のような柄には不向きですが、ハンドドローイングの風合いはそのまま再現されます。
工程としては…
描画剤(溶剤性)で柄を描く。(下絵の上にスクリーンを置き、なぞる)
目止め剤(水性)でスクリーン全体を塗りつぶす。(内側からバケットなどでムラのないように塗る)
目止め剤を乾燥させ、描画剤を溶剤で落とす。(目止め剤は水性なので溶け落ちない)
↓
描画した箇所がインキが通る版になる。
上記は溶剤性インキ用の版となるが、描画を水性、目止め剤を溶剤性にすることで水性インキ用の版になる。
下絵を元に柄以外の部分を目止め剤を塗ってしまう方法もあります。この方法は描画剤を洗い落とす工程が省けますが、細かい柄などは不向きです。
カッティング法(切り抜いて紗に貼り付ける方法)
特殊な紙やフィルムのシートを柄に沿って切り抜き、紗に貼り付ける方法です。
工程としては…
下絵(版下)とニス原紙・ラッカーフィルム等のシートを貼り合わせ、下絵を元に絵柄を切り抜きます。
↓
絵柄の切り抜きが終わったら、枠張りしたスクリーンに切り抜きしたシートを貼りつけます。
(ニス原紙では、枠張りしたスクリーンを置いて上からアイロンを当てて貼りつけ、版下を剥がせば完成です)
雑誌「版画芸術」にも…
昨年『版画芸術』という雑誌にステンシル版の作り方が紹介されておりました。(ブロッキング法)
- 下絵に紗張りしたスクリーン枠を置き、下絵をなぞる。
- 写した線をもとに水で溶いた木工用ボンドで絵柄以外を塗りつぶし完成。
版画芸術 No.174 2016冬号
(了)