前回、刷り順について簡単に説明いたしましたが、今回はスクリーン印刷の特性を踏まえて色分け(版分け)を説明してみたいと思います。
※本記事に出てくる単語・用語について、事業所さんによって意味が異なる場合があります。
ノセとヌキ
*オーバープリント
紺色の楕円(下の色)に黄色ロゴをそのまま重ねて印刷することを、オーバープリント(ノセ)と呼んでおります。印刷位置精度はそれほどシビアにみる必要がなくなり作業は容易になります。
インキによりますが…
・プリント上がりは濃色に淡色を重ねると、淡色が透けてくすんだような感じになります。
しかし、Tシャツプリントなどで使われる濃色地用のラバーインクは隠蔽性が高く下色の影響を受けにくく、オーバープリントを多用されるプリント屋さんも多いです。
・インキによっては、上下のインキ同士はじいたりかすれたりしてインキ被膜が均一な印刷ができない場合があります。(洗濯など堅牢度にも注意してください)
* 抜き合わせ
上記の通りオーバープリントでは重色によって色が変わってしまう可能性があります。それを避けるため色が重なるところを抜いて印刷することを、抜き合わせ(ヌキ)と一般的に言います。
塗り足し(トラップ処理)
抜き合わせは、印刷がずれると色と色の境にすき間が出来てしまいます。(スクリーン印刷の場合、見当を合わせても実際印刷するとメッシュの伸縮によりすき間が空きやすいのです…)そこで他の色に接する箇所を、少し大きくして重なるように版下を加工します。これを塗り足し(トラップ処理・カブセ)といいます。
通常、刷り順の早い色版を塗り足しをして、後の色版で形を決めます。
アナログの時代はオペークなどで描き足ししておりましたが、今はIllustratorやPhotoshopを使用してトラップを付けております。
・どのようにどのくらい塗り足すか?
・IllustratorやPhotoshopのトラップ処理等々
具体的な話しは、また次回にしたいと思います。
<了>